【人事担当インタビュー】株式会社パソナ / 人を活かして社会の問題を解決する(1/2)

株式会社パソナさんの入り口前にて、市川 知之さん(左)と李 妍暻さん(右)

株式会社パソナグループ公式ウェブサイト

株式会社パソナ公式ウェブサイト

パソナグローバル事業本部公式ウェブサイト

 

株式会社パソナは1976年に、働きたいと願う家庭の主婦の再就職を応援しようとスタートしました。現在では、海外15カ国/エリアに展開し、この世界に広がるネットワークによって8000社以上の企業より多くの求人が寄せられています。今回は、グローバル事業本部長の市川さんに取材してきました。

 

常務執行役員 グローバル事業本部長 市川 知之(イチカワ トモユキ)さん

グローバル事業本部 グローバルサーチ事業部 第3チーム チーム長 李 妍暻(イ ヨンギョン)さん

自分の強みを活かして働ける環境。

 

外国籍社員の採用状況について教えてください。

グループ全体で年間5人〜10人程度採用しています。私のいるグローバル事業本部では、全体で120〜130人いますが40人弱が外国籍社員です。グループ本社の人事部が一括で行う新卒採用とは別にパソナの海外事業として行なっている採用があります。

基本的には将来、海外拠点に行っていただくことを前提で研修をしていますので、海外拠点がある国籍の社員が多いです。12〜13カ国くらいでしょうか。現在は戦略的にASEANが中心ではありますが、中国、香港、インド、アメリカ出身者もいます。ほとんどの社員が日本の大学を卒業していますが、現地のイベントで出会って採用したケースもあります。また、海外拠点から長期研修のために日本に来ている社員も数名います。

 

外国籍社員に期待していることはありますか?

一番は、自分の強みを活かしていただくことですね。外国籍社員にとって日本は外国です。外国で働くことはチャレンジングなことだと思います。例えば、中国の方が入社した場合には、中国人の求職者とのやりとりや、中国法人のリクルーターとのやりとりをしていただきます。クロスボーダービジネスを更に拡大することを彼らにミッションとして与えています。

 

どのようなときに、外国籍の社員を雇って良かったと思いますか?

日本人だけで固まっているとアイディアが出てこない、考えが凝り固まってしまうというときがあります。そこに若い方、外国籍の方が加わると様々なアイディアを持ってきてくれたり、その国々で異なるマーケティング 方法を教えてくれたりします。組織が活性化され、他の社員の刺激にもなっているのではないでしょうか。

また、2年前から日本人が英語を話せるように、英語しか話せない社員もどんどん受け入れています。日本人社員の良い刺激となっていて、お互い英語で会話している姿を見かけます。しかし、大抵は英語しか話せない社員の方が日本語を早く習得してしまいます(笑)彼らは優秀なのに加えて、必死に日本語を習得しようとしています。この必死さが外国籍社員にはあります。この姿を日本人社員が見て、自分たちもやっていかなければと気づいてくれていると良いですね。

第一印象で「感じの良い人」。

 

英語しか話せない社員を雇う際の基準はありますか。また、採用プロセスについてはいかがでしょう?

パソナは人財に関わる会社ですのでまず第一印象で「感じの良い人」です。もちろん自分が何をやりたいのかを聞きますが、笑顔で挨拶が言える方、何事にもフレキシブルな対応のできる方が良いですね。

人事部が行なっている外国人の新卒採用は日本人と同じ採用プロセスで、私たちグローバル事業本部で独自に行なっている採用は海外拠点で働くことが前提となりますのでそのプロセスは異なりますが基本は、パソナグループとしての理念や事業に共感を持って働いて頂ける社員を採用しています。

 

外国籍社員のためのサポートなどありますか?

特に外国籍社員だけのための特別なサポートは行なっていませんが、日本のビジネスマナーなどの研修講座を月に数回行なっています。ただ、商習慣や言語の面においても、外国籍社員は業務の中でどんどん自らスキルを習得していってくれます。例えば、インド出身の社員は、入社当初は「こんにちは」しか言えなかったのですが、1年後には漢字でメールのやり取りができるようになっていました(笑)英語が母語ではない方も多いので、まず国の外に出るとその国の言語をちゃんと覚えてコミュニケーションを取ろうと言うハングリー精神があると思います。むしろ、日本人が変わらないといけないなという焦りをヒシヒシと感じています。

また、親睦を深めるための課外活動はよく行なっています。BBQ、ボーリング大会、運動会、飲み会など。彼らのアイディアでイベントをする機会が多いですね。

さらに、社員には休暇をしっかりとって母国の家族と時間を過ごせるように勧めています。国にもよりますが、一般的に2週間から1ヶ月程度の休暇が取得できる国はたくさんありますし、若い人には両親に会う時間を大切にしてほしいですね。例えば、ある時期までに売上げ目標が達成していれば、通常の休暇に少しプラスして休みを取る等、工夫をしております。

 

椅子に腰をかける、李 妍暻さん(左)と市川 知之さん(右)

 

「チャンスは平等に、評価は公正に」

 

外国籍社員の昇進過程について教えてください。

私たちのモットーとして「チャンスは平等に、評価は公正に」を掲げていますので、外国籍だから、日本人だからは一切ありません。チャンスはみんなに平等に与えられています。外国籍社員の中には4年目でチーム長になり、もっと昇進していくような社員もいます。日本での壁を乗り越えて実績を作り、昇進していきます。外国籍社員は優秀な方が多いので、昇進のスピードが早い印象もあります。

 

外国籍社員が海外で勤務することはできますか?

はい。母国に帰国する際は基本的に転籍できる機会があり、もしも母国でなくても、ポジションがあれば転籍できるようになっています。実績があって、この人にはパソナグループで引き続き活躍してほしいという社員には必ずチャンスがありますね。

 

御社で働く魅力は何でしょう?

創業者である代表取締役グループ代表の南部は、「若い人に多くのチャンスを与えよう」「迷ったらやる(考えていないでやってみなさい)」という理念を持っています。これは、外国籍社員の働き方や考え方と非常にマッチするものだと思います。日本企業の中には、「まだ若いのだから…(年上の人に従うこと)」等年功序列的な風潮があるのかもしれませんが、パソナではあまり感じられません。もしも外国籍社員の面白いアイディアで、こういう企画をしたい、新しいスキームを作りたいという提案に対しては、どんどん機会を与えていくという方針です。

また、南部は廊下を歩いている新入社員にも気軽に話しかけることが良くあります。大企業だと部長に話すのは課長以上、役員と話すのは部長以上など、暗黙のルールがある日系企業は案外多いです。パソナはこれがありません。欧米のようなフラットな環境と企業文化があります。

また、日本語か英語のどちらか好きな方で仕事ができるので、言語に対するプレッシャーも少ないかもしれません。英語しか話せないのであれば、英語で対応できる仕事はたくさんありますし、日本語が完璧に話せなければ仕事ができないというポジションはありません。今後は業務に応じて、現在(グローバル事業本部で)3割程度の外国籍社員を半分以上にしていくという目標を立てています。もしも半分以上になった際には、完全に英語にすると約束しています。そこを目標に採用活動をしていきます。もちろん、日本人で優秀な方も採用していきます。

パソナの海外事業は30年以上の実績がありますが、私自身、入社してから新規進出の立ち上げや組織編成に伴った新しい部署の新設、またゼロからビジネスを立ち上げるなど、様々な経験をさせて頂いていて大変やりがいを感じています。

 

これから日本で就職活動をする留学生にアドバイスをお願いします。

皆さんが思っている以上に、日本国内での就職チャンスは多くあると思います。自分の良いところをうまく表現できるように、緊張せず、自分らしさを前面に出していければ、可能性が広がる事は間違いありません。私自身も外国籍の方と毎日のように面談をしているのですが、皆さんすごく緊張しています。自分の国の言葉ではないので、緊張するのは当然のことなのですが、自信を持って面談に挑んでもらいたいです。そして、これからの日本企業において、自分にはチャンスがあることを忘れないでください。

 

ありがとうございました!

(インタビュー・記事:渡邉絵理、若林親正)

 

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