【留学生企業インタビュー】日本駐車場開発株式会社/国籍に関係なく成果をフェアに評価する
今回の企業インタビューは “特別編”です!早稲田大学 日本語教育研究センターで学ぶ留学生の授業(「ビジネスコミュニケーションのためのケース学習6-8」担当教員:金孝卿)の一貫として、外国籍社員が活躍する日本企業にインタビューしてきました。第3弾は「日本駐車場開発株式会社(以下NPD)」です。
https://www.n-p-d.co.jp
<インタビュアー>
■カン ジワォン さん(早稲田大学 商学部)(写真:左)
■リ カ さん(早稲田大学 日本語教育研究センター)(写真:中央)
<インタビュイー>
■日本駐車場開発株式会社 管理本部 人事総務部 グリーン エリック 幸太郎 さん(写真:右)
(OSHIGOTO.COM事務局 田村)
本日は、よろしくお願いします。
Q.初めに、NPDについて教えてください。
(グリーンさん)
NPDは、100都市に100年続く100の会社(社長)を作ることを目指しています。
弊社の事業で駐車場の運営がありますが、弊社で駐車場を持っているのではなく、駐車場を借りて、貸す仕組みを持っています。駐車場の効率的な運用を通して、駐車場を所有しているオーナーにも、社会にも貢献しながら収益を得ています。
同様に、グループ会社では、スキー場の運営も行っています。不動産や空きスペースの有効活用に関するノウハウをもとに、ソリューションを提供して、運営の効率化を図っています。例えば、スキー場は、一般的には冬に利用者が増えますが、夏も別の利用方法を提案して、夏の時期にも利用者が増えるような機会を作っています。
(OSHIGOTO.COM事務局 田村)
ありがとうございます。それでは、今度は留学生から順に質問をさせていただきます。
(リさん)※ここからQは、インタビュアーのリ カ さんの質問です。
Q.入社したら、どんな仕事をするのか教えてください
1年目は、駐車場1物件を任されるところから始まります。1物件とはいえ、アルバイトや契約社員の管理マネジメントをはじめ、チーム一丸となって、いかに安全な環境を作って、かつ収益を上げられるかが求められます。社員が24時間常にいることは不可能であるため、誰が担当しているときでも同じような安全性と収益が維持できるかが重要です。
2-3年目になると、複数の物件管理を任されるようになります。その後、エリアの責任者を経て、7-9年目くらいには支社長になることを期待しています。他にも、グループ会社の経営や海外事業に携わるキャリアパスも考えられます。
Q.NPDで仕事をする”やりがい”について教えてください
弊社で仕事をする”やりがい”は、成果をしっかり評価してもらえるところではないでしょうか。必ずしも、年齢が高いから評価される年功序列ではありません。実際、現在も30代の役員が複数います。
私は、前職はNPDよりも大きな、皆さんも知っているような会社にいました。年収も今よりも高かったです。しかし、自分の将来を考えたときに、もっと実力を高めて、様々なチャンスをつかむことができる会社で挑戦したいと考えました。そのため、私はNPDに転職したのですが、今まで以上に”やりがい”を感じながら仕事をしています。
Q.外国人の採用は行っていますか?
外国人の採用について、弊社では近年積極的に行っています。実際、昨年は説明会で約1,000名の方にお会いし、200-300名くらいの方と面接したと思います。
日本国内だけでなく、海外でもリクルーティングを始めて、日本だけで採用活動をするのは狭い世界だったなと感じています。海外に出ればグローバルな企業はたくさんあります。そのような企業を見ると、まだまだやれることはたくさんあるなと感じます。海外での採用は挑戦も多く大変ですが、世界の採用の先端を体感できる機会でもあると思いますし、やりがいを感じますね。
Q.採用するときに重視しているポイントを教えてください
まず、選考基準について、国籍は関係ありません。また、能力を最重要視しているわけでもありません。弊社では、”マインド”を最重要視しています。”マインド”が一番変えることが難しいと考えるためです。具体的には、弊社で重要視している考え方、「Change」「Challenge」「Create」の3つを実現できる人、自分で考えて変革を起こせるような人、単に批判するのではなく、提案して、実行に向けて行動できる人を探しています。また、このようなマインドを持って、弊社のビジョンを一緒に考え、実現していける経営視点を持てるような人を求めています。
Q.異文化を持っているからこそ、問題が生じたことはありますか?
異文化ギャップによる問題で、過去にトラブルはありました。具体的には、ある社員が、現場経験が浅くて、車種と駐車場に関する知識が少なかったために、駐車場への誘導ミスをすることがありました。車の大きさに対して駐車場が狭く、お客様の車を傷つけてしまったのです。そのとき、お客様は、あまり怒りませんでした。それゆえ、ミスをした社員は、上司にミスを報告しませんでした。しかし、その結果、あとでお客様からクレームが届いたということがありました。
このケースの場合、問題が起こったとき、仮にお客様があまり怒らなかったとしても、お詫び含めて、精一杯対応すべきだったのです。しかし、ミスをした社員に、そのような指導をすると、その社員は「教えてもらっていないので分からない。それなのに、上司ではなく、自分の責任になるのか?」と言いました。確かに、分からなければ、対応できません。その社員に悪意があったわけではないのです。このような事例に対して、トラブルが発生したときに、それが大きいか小さいかは関係なく、お客様にどのように対応しなければならないのか、今後同じようなクレームが発生しないように改善を図っていくこと必要があると考えています。
<カンさん> ※ここからQは、インタビュアーのカン ジワォン さんの質問です。
Q.外国人ということで、日本人と違う就職方法はありますか?
就職活動の方法は、人それぞれやり方があると思います。過去には、タイ人の方が、日本に旅行に来たタイミングで、たまたま機会があって、弊社の面接を受けて、内定を獲得されたこともありました。
Q.外国人向けに日本人と異なるエントリー窓口はありますか?
“外国人採用”という日本人とは別のエントリー窓口は作っています。ただし、あくまで募集をするときの打ち出しの話であって、選考に関して、日本人と違いはありません。
Q.外国人に求める役割は何かありますか?
外国人だからこそ何か役割があるかといえば、明確にはないです。一人ひとり、個人の想いや能力、適性などを見て、役割を任せています。そのため、外国籍だからという枠組みで、役割を考えることは、ほぼないと思います。
Q.外国人ということで何か不利なことはありますか?
外国人だから不利なことは、特にありません。NPD韓国の代表は、韓国人です。その代表も、「語学力などの差はあるにせよ、評価はフェアであるからこそ、入社して頑張ることができた。」という話をされています。
Q.グリーンさんの将来について、今後どのようなことがしたいか教えてください
今はまだ、明確に何かが見えているわけではありません。ただ、何かを実現したいと思ったときに、資金的な制約を受けないように、資産を増やしておきたいとは考えています。最初から何かやりたいという明確な想いや軸を持っている人は少数派だと思います。しかし、好奇心旺盛で、何かに挑戦し続けられれば、いずれ何かしたいことが見つかるように思います。
Q.これから就職活動をする留学生にアドバイスをお願いします
「なぜ就職したいのか」自分の考えを掘り下げて欲しいです。何か参考資料で学んで回答するのではなく、自分で考えて、正直に回答してほしいです。例えば、日本企業でよくある年功序列が好きではなく、成果主義で報酬がもらえる環境で仕事がしたいという考えであれば、それを正直に言ってくれた方が、その人の価値観が分かります。企業は面接で人柄が見えるかどうかを大事にしています。だからこそ、自分のことをしっかり理解して、自分の言葉で話してほしいと考えています。
また、就職に関する情報は、たくさんあると思います。しかし、一つ一つに惑わされるのではなく、自分の頭で考えて行動してほしいです。皆さんの周りにも、銀行や商社を希望する人がいると思います。しかし、だからといって、自分で何も考えずに、周囲と同じように銀行や商社を受けてはいけません。多くの人が考えることについて、本当に自分にも、その考え方が当てはまるのか、しっかり考えてほしいです。
ありがとうございました!
(担当:田村 一也)