【企業インタビュー】株式会社ショーケース・ティービー / 外国籍社員が組織を元気にさせる(1/3)
<取材先>
株式会社ショーケース・ティービー
経営企画室 HRグループ マネージャ 太田 奈津希 さん
管理本部 情報システムグループ MAY THA ZIN SOE(メイタジンソー)さん
今回取材させていただいた株式会社ショーケース・ティービー(以下ショーケース・ティービー)は、インターネットサービスに関する最適化(ユーザーにとって使いやすくするための改善)に取り組んでいる企業です。1996年に設立され、昨年東証マザーズから東証1部【※1】に市場変更されました。今後は、海外含め、事業をさらに拡大していく予定です。同社理念にもある豊かなネット社会を作っていくために、これまでの法人企業向けのマーケティング(BtoB【※2】)だけではなく、個人のお客様(BtoC【※3】)向けのサービスも強化していきたいと考えています。
今回は、海外事業を強化していく途中にあるショーケース・ティービーの人事マネージャをはじめ、外国籍エンジニアや初めての外国籍社員で、現在テレワークで海外で仕事をするスタッフに話をうかがってみました。
【※1】日本の株式市場の名称です。
【※2】Business to Business(法人企業が法人企業へサービスを提供することを意味します)
【※3】Business to Customer(法人企業が個人消費者へサービスを提供することを意味します)
■経営企画室 HRグループ マネージャ 太田 奈津希 さん
・株式会社ショーケース・ティービーについて教えてください。
「豊かなネット社会を創る」を理念に、「インターネットに”おもてなし”の心を」をキャッチフレーズに、インターネットが抱える不便さや使いづらさを解決していく企業です。例えば、スマホの入力がしにくいなどです。今までは、インターネットのマイナス面を改善してきました。今後は、インターネットを通して、豊かな生活や体験ができるような価値を生み出していきたいと考えています。
日本人や外国人という垣根を外して優秀な方を採用したい
外国人採用を始めた経緯について教えてください。
初めは特に外国人を採用するという意識は持っていませんでした。初めて採用したのは2011年で、金さん(後にインタビューで登場する女性)を新卒で採用したのが始まりです。もともと副社長は海外事業に前向きで、積極的に外国籍社員の活用をしていきたいと考えていました。しかし、社内で受け入れるときの問題、特に語学への心配があり、なかなか踏み切ることができませんでした。そのような中、弊社で必要なエンジニアは日本国内での採用がどんどんしにくくなっていくという状況がありました。そのため、日本人や外国人という垣根を外して優秀な方を採用したいと考えるようになりました。採用方法は日本人と同じです。個人の能力を見ているので、外国人を特別積極的に採用しているわけではありません。外国籍社員の多くは日本国内にいた留学生やすでに日本企業で働いたことのある中途社員で、海外から採用した事例は、台湾のジョブフェアで採用したケースのみです。(後にインタビューするエンジニア男性)
外国人材を受け入れるときに難しいことはありましたか?
特に無かったと思います。日本人と同じように受け入れていたので。そのため、外国籍社員は大変だったと思います。彼らが弊社に上手く適応してくれたのだと思っています。とはいえ、コミュニケーションを取るときの課題はあります。特に、弊社の企業文化ですが、抽象度の高いコミュニケーションは改善していく必要があると思います。外国籍の方にとって、日本人的なあいまいな表現を理解することは難しいです。そのため、伝えたいことを言語化して説明できるように社員全体のコミュニケーションレベルを上げていく必要があります。
外国籍の方々を日本人同様に受け入れていて定着はされていますか?
はい、定着率は高いと思います。まだ人数は決して多いわけではないですが、採用して退職にいたっている方は少ないです。
「社員のコミュニケーションレベルの向上」「海外の視点」「社内の活性化」
外国籍社員の方を受け入れることで期待していることは何ですか?
これまで受け入れてきて感じていることですが、大きく3つあります。1つ目は先ほど申し上げた企業文化として抽象度が高い表現から、相手に具体的に伝えられるようになるという点で、社員のコミュニケーションレベルの向上です。2つ目は外国人材だからこそ持っている海外の視点です。日本人の当たり前ではなく、海外の視点を知ってほしいと考えています。3つ目は、社内の活性化です。外国籍社員の方々は覚悟をもって日本に来ている方が多く、成果を出すためのモチベーションが非常に高いと感じています。彼らが組織で活躍することで、社内が活性化したり、社員の能力が向上していくことを期待しています。
■管理本部 情報システムグループ MAY THA ZIN SOE(メイタジンソー)さん
ショーケース・ティービーに入社された経緯を教えてください。
まず業界選びのところからお話させください。私は日本に留学して、コンビニでアルバイトをしていました。そのとき、電子マネー決済のシステムに驚きました。ミャンマーでは無い仕組みです。また、私は母国で大学を卒業してから日本に来たのですが、日本語学校から進学するときにも、Webサイトで探しました。そのようなきっかけで、ITに興味を持つようになりました。ミャンマーにとって、ITは難しい分野だと思います。しかし、それを理解して、分かりやすく母国のみんなに伝えることができたら、すごく良いなと思いました。ショーケース・ティービーの理念は、インターネットのサービスを見やすく、分かりやすくすることです。これは、私の考えとも合っていると思い、入社することを決めました。
どのように就職活動をされていたのですか?
インターナショナルジョブフェア(合同企業説明会)やミャンマー人向けの就職イベントに参加したり、企業HPを見て応募していました。
就職活動で苦労したことは何ですか?
自己PRの書き方に苦労しました。日本語の言葉づかいが難しかったです。また、ワークショップも苦労しました。日本人学生と一緒にやると、日本語を聞き取って、自分の考えを伝えていくのはとても難しいです。知識が無いと話すことができない分野はなおさらでした。
お互いにコミュニケーションを取って理解することが必要
ショーケース・ティービーにはインターンシップをして入社されていますが、当時大変だったことはありますか?
社員の皆さんが優しかったので、特に苦労したことはないです。1年目はIT開発本部、その後管理本部で仕事をしていますが、専門学校で勉強していたITの知識が活かせています。困ることもありますが、働きやすいと思います。日本人との考え方の違いや文化の違いを理解することには苦労します。特に、日本人はあいまいな表現を使うので、理解することが難しいです。例えば、「大丈夫だと思うけど…」のようなあいまいな表現だと、本当に大丈夫なのか分かりにくいですし、意味を理解することが難しいです。そのためにも、お互いにコミュニケーションを取って理解することが必要だと思います。
今後の目標を教えてください。
社員にとって手間がかからないシステムを開発したいです。また、将来、母国に帰国する機会があれば、日本で働いた経験を活かして、ショーケース・ティービーのサービスを母国に持っていきたいです。
外国人留学生へのメッセージ
積極的に情報を取っていってほしいです。私はできていなかったのですが、就職活動のときだけではなく、学校に通っているときも様々なセミナーに参加できる機会はあると思います。そのセミナーが自分に関係があまりなくても、積極的に参加してほしいです。いつか自分にとって関係がある内容になる可能性があります。また、ニュースも見た方がいいと思います。ニュースの情報も就職活動で役に立ちます。このように情報をたくさん吸収していくことで、就職活動に活かしていってほしいです。
ありがとうございました!
次回は、ショーケース・ティービーに初めて入った外国籍社員で、現在台湾でテレワークをされている金さんの特集です。お楽しみに!
続きはこちら:「初めての外国籍社員だからこそ負けられない【株式会社ショーケース・ティービー】」
(インタビュー・記事:田村 一也、渡邉 絵理)