【企業インタビュー】エンワールド・ジャパン株式会社 / 多国籍の人が違いを超えて、一人ひとり活躍できる会社を作る(1/2)
エンワールド・ジャパン株式会社(以下エンワールド・ジャパン)は、もともとウォールストリートアソシエイツ株式会社(以下ウォールストリートアソシエイツ)というイギリス人が設立した会社で、金融系の経営者や役員の採用支援を行う会社でした。2010年、エン・ジャパンのグループ会社となり、エンワールド・ジャパンが誕生しました。現在でも経営者の半分は外国籍です。外国人ばかりの企業から、少しずつ日本人が増えていき、多国籍の日本企業になったという経緯があります。インタビュー第1弾では、そんなエンワールド・ジャパンで人事戦略を考える佐藤さんにお話を伺います。
取締役ヴァイスプレジデント CxO プラットフォーム事業責任者
佐藤 有(さとうゆう)さん
サプライチェーン&プロキュアメント部門 シニアコンサルタント
ダニエル ムニョスさん
エンワールド・ジャパンは、どのような事業をしている会社ですか?
グローバル企業の経営者や役員など、エグゼクティブ層の採用支援・転職支援をしている会社です。グローバル企業の多くが、外資系企業のお客様です。また、エグゼクティブ層だけではなく、ミドル層と呼んでいる部長や課長クラスの支援も増えてきています。
御社の社風(企業文化)について教えてください。
私は、エン・ジャパンのグループ会社になる前から入社していますが、エン・ジャパングループになったあとも、特に組織文化は変わっていないと思います。それぞれの良いところを残し、活かすことを考えて、カルチャーを融合させていきました。特に、転職支援したあと、つまり「入社後活躍」にこだわりをもってサポートを行うという考え方は、社員全員が同じように持っていたい価値観です。
働く環境について教えてください。
現在20カ国を超える国籍の社員がいます。社内公用語は英語のため、日本語が不得意な外国籍社員もいます。一方で、英語が不得意な日本人社員もいます。そのため、社内資料は日本語と英語の2ヶ国語で作っています。日本語や英語を学びたい社員のために、語学研修の制度があります。会社として毎月1-2万円の語学学習のサポートをしています。その制度を使って、就業時間外に講師を社内に呼んで、英語や日本語を学んでいる社員もいます。
私の理想としては、今後日本人と外国人の社員構成比を、半々にしていきたいと考えています。お客様には日本人も外国人の方もいらっしゃいますので、それぞれに対応できる、様々な人が活躍できる組織を作っていきたいと考えています。
多様な人材をマネジメントするうえで、工夫されていることはありますか?
一人ひとり違いがあることを前提に、その違いを認めて、一人ひとりと向き合ってコミュニケーションを取ることを大事にしています。エンワールド・ジャパンには、20カ国を超える外国籍社員がいますので、コモンセンス(共通の常識)が初めからあるわけではないです。自分にとっては当たり前でも、他の人には当たり前ではないことが、たくさんあります。それを口にだして言わなければ分かりません。また、言葉が分かったとしても、言葉の意味の捉え方は文化によっても異なります。
だからこそ、コミュニケーションの量を重視し、一人ひとりと十分に時間を取って向き合うことを意識しています。毎週、マネージャーとメンバーで1on1をする機会もあります。そのときに、会社としてやらなければならないことをしっかり説明します。いきなり「やりなさい」では、相手は理解に苦しむと思いますし、「なぜ?」と感じると思います。
そして、誰もが何でも言いやすい雰囲気(企業文化)を作ることが大切だと考えています。そのようなコミュニケーションの積み重ねが重要ですね。
採用方針について教えてください。
まず採用基準ですが、外国人の方だからといって、日本人と採用基準を変えることはありません。私たち「エンワールド・ジャパンの価値に共感できる方」かどうか、私たちが求める「主体的に考えられる人」かどうかが重要なポイントです。今後も国籍に関係なく、新卒採用もキャリア採用も行っていきます。「主体性がある方」「海外経験が豊富な方」「多国籍な環境で適応力が高い方」を採用していきたいです。
評価や報酬について教えてください。
透明性を大事にしています。マネージャーの好き嫌いで評価が変わるような組織を嫌がる方は、転職相談でもよく耳にします。また、20代で活躍しにくく、昇進できない、給料が変わらないという不満も多いと思います。エンワールド・ジャパンでは、なるべく評価を定量化し、定性的な評価も「見える化」して、報酬を決めるようにしています。
エンワールド・ジャパンで働く魅力を教えてください。
まず一つは、多国籍で多様な人材がいる環境で、英語を使って仕事ができるところですね。そして、国籍や年齢に関係なく、誰にでもチャンスがある企業風土も魅力だと思います。また、外国人の方にとっては、お客様に外国人の方も多いので、コミュニケーションが取りやすい=活躍しやすいところではないかと思います。例えば、外資系企業で外国籍の社長や役員の方とコミュニケーションを取るときに、英語ができるだけではダメなのです。相手の文化や考え方を理解できるかどうかがビジネスでは重要になります。
最後に、これから日本企業へ就職を希望する外国人留学生にメッセージをお願いします。
日本で就職するなら、商習慣に違いがあることを理解することが重要です。外国人同士で一緒にいるのではなく、日本人と一緒に過ごし、コミュニケーションを取ることで、それを学べると思います。また、すでに働いている人とつながることも大事です。自分から情報を取りに行くフットワークの軽さが必要ですね。
また、日本で成功するためのポイントは、やはり日本語を勉強することです。エンワールド・ジャパンの社員にも、私たちが支援する方にも、日本語が苦手な方はいます。しかし、日本語ができたほうが、ビジネスの領域、可能性は広がります。自分が持っている専門知識や能力を最大限生かすためにも、日本語を習得することは重要です。
ありがとうございました!
次回は、多国籍な環境で働く外国籍社員のダニエルさんにお話を伺います。お楽しみに!
後半の記事はこちら
(インタビュー:田村一也、渡邉絵理)