【留学生企業インタビュー】BEENOS株式会社 / 多国籍チームの異文化コミュニケーション(2/2)

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今回の企業インタビューは “特別編”です!早稲田大学 日本語教育研究センターで学ぶ留学生の授業(「ビジネスコミュニケーションのためのケース学習6-8」担当教員:金孝卿)の一貫として、外国籍社員が活躍する日本企業にインタビューしてきました。第1弾はBEENOS株式会社(以下BEENOS)」です。

https://beenos.com/

 

<インタビュアー>

■カン ミンジョン さん(早稲田大学 日本語教育研究センター 日本語教育プログラム生)(写真:左から2番目)

■ミヤグスク ハルユキ さん(早稲田大学大学院 経営管理研究科 専門職学位課程)(写真:中央)

<インタビュイー>

■BEENOS株式会社 社長室 ブランドマネージャー 笠松 太洋 さん(写真:左から1番目)

■BEENOS株式会社 社長室 人事/採用チーム 船戸 麻美子 さん(写真:右から1番目)

■株式会社ショップエアライン サブマネージャー バヨット アイリン さん(写真:右から2番目)

株式会社ショップエアラインはBEENOS株式会社のグループ会社です。

http://www.shopairlines.com/

 

 

(ハルユキさん)※ここからQは、インタビュアーのハルユキさんの質問です。

Q.異なる文化の人とコミュニケーションを取るときに意識していることはありますか?

(アイリンさん)

実は、心掛けることはないです。「この国籍や民族は◯◯だろう」というのは、ステレオタイプになるので、意識しないようにしています。

(笠松さん)

私も同じです。あまり気にしないですね。相手のことを知らずに、ステレオタイプで判断しないようにしています。私も日本とアメリカのハーフで、一見日本人っぽくない見た目なので、今までステレオタイプで見られてしまうことがありました。ただ、それに対して、決してよくは思いません。だからこそ、私も相手とコミュニケーションを取って、相手を知ったうえで、どのような個性があるのかを理解するようにしています。また、BEENOSで仕事をしていて、国籍だけでなく、ジェンダー面で気を遣ったほうがいいことがあることも学びました。社員が多様になることで、何か人事施策をするときなど、細かい部分で注意をするようになりました。

 

Q.文化や言語の違いによってコミュニケーションの壁を感じることはありますか?

(アイリンさん)

特にないですね。もちろん、スペイン語が得意なメンバーが多い場合、スペイン語を使ったほうが、理解が早くなる場合もあります。ただ、基本は日本語と英語でコミュニケーションを取ることはできます。私の事業会社(ショップエアライン)は、社長も英語が話せるので、コミュニケーションは取りやすいほうだと思います。また、社員の語学力を高めるために、毎週、仕事が終わる時間帯で、日本語のクラスや英語のクラスを開いて、社員の語学力向上をサポートしています。

(笠松さん)

壁というよりは、ポジティブな傾向で、社員が多国籍になったことで、語学習得を意識する社員が増えていったと思います。もちろん、最初から壁がないわけではないですが、徐々に壁は低くなってきていると感じています。

 

Q.多国籍の環境で仕事をするうえで難しいことは何かありますか?

(アイリンさん)

特にないと思います。ただ、外国人は、休日は休みたいと考えるのが一般的です。しかし、日本人は週末も仕事している人がいます。それが、外国人にとって無言のプレッシャーになることがあります。休みやすい環境はありますが、実際に休むかどうかは個人差があるように思います。

(笠松さん)

休日も仕事をしてしまう日本人の感覚を外国籍社員に強要する気はないですが、自分も無意識に、休日に仕事をしてしまうことはあると思います。それは、仕事をしたいからしているのですが。異文化による休日の考え方の違いは、実際、国によって有休消化率に差がることを考えると、そこに文化の差はあるのかもしれません。考え方は、それぞれ異なるので、それぞれ許容されるような環境があればよいと思います。

(船戸さん)

私は旅行が好きなので、たまに長く休みを取りたいと思います。当社はそれができる会社ではあると思います。

 

Q.より働きやすい環境にするための取り組みは何かしていますか?

(船戸さん)

チームで協力し合うことは大事にしています。私たちは人事なので、採用活動で休日の仕事が増えたりすると、お互いに休むことを勧めます。外国籍社員であれば、母国に帰国するために長く休みを取りたい人もいます。そのようなときに、チームワークでお互いサポートできる環境を作っています。

(笠松さん)

そのようなチームワークの有無は、企業と個人事業主との差ですね。会社だからこそ、チームで仕事をする分、自分が自由になれることもあります。

(アイリンさん)

私はエンジニアなので、仕事の自動化の方法を考えるようにしています。

(笠松さん)

BEENOSグループはITの会社でもあるので、単純作業は自動化させて、お客様に喜んでもらえるようなクリエイティブな仕事の時間を増やしたいと考えています。

(船戸さん)

単純作業は成長を感じられにくいので、より成長できる仕事に時間を使えたほうがよいですね。

 

Q.異文化によって生じた問題は何かありますか?

(アイリンさん)

トラブルではないですが、外国人の社員で情熱的な話し方をする人だと、聞く人によっては、主張が強い印象を与えてしまうことがあります。そうすると、人によっては、怒られているように感じてしまうかもしれません。そのような異文化による問題が生じたときに必要なことは、まずは相手を尊重して、気分を害さないように、相手の考え方を想像しながらコミュニケーションを取ることが大事だと思います。このように意識をするのは最初だけで、時間が経つと慣れて当たり前になるものだと思います。

(笠松さん)

日本人は、世界でも物事をストレートに伝えるのが苦手なところがあります。人によっては、それを嫌がる人もいます。そのため、相手によってコミュニケーションの仕方を変えることも必要になります。

(アイリンさん)

コミュニケーションの取り方でいうと、例えば「チャット」と「対面の会話」を使い分けることも効果的だと思います。

(笠松さん)

対面でコミュニケーションを取ることで、相手の表情を知ることもできるので、何でも手軽にチャットで伝えないほうがよいですね。

 

【画像】留学生企業インタビューBEENOS社6

 

Q.多文化な環境であるからこそのおもしろさは何ですか?

(笠松さん)

多文化な職場環境だからこそ、いろんなアイディアが出るところがおもしろいと思います。視点が複数あるほうが、自分だけでは気づけないことも知れるので、ビジネスとして有利になる可能性が高いと思います。

(アイリンさん)

自分が知らないことを知れるという点で、個人的にも成長できます。様々な価値観を学ぶことができます。もし今私がいる小さな異文化共存のグループで、コンフリクトなく一緒に働くことができるのであれば、世界平和が作れるのではないかと思います。世界も様々な異なる文化が共存する一つの組織のように捉えることができるので。私のグループでは、みんな違うバックグラウンドがあっても、同じゴールを目指しているので、それを一緒に達成しようと一体感が生まれています。

(船戸さん)

世界を対象にした事業を行ううえで、外国人が見ている情報やモノの見方を知ることができるのは良い機会だと思います。外国人の採用をするときにも、とても参考になります。

 

Q.異文化の人から学んだことは何かありますか?

(笠松さん)

考え方の違いを学んだのはもちろんですが、組織をもっと良くしなければならないことに気づかされたとも思います。例えば、雇用契約書が今は日本語しかありません。これでは外国人にとっては不便だし、人事として課題に感じています。このように、多文化の人を受け入れやすい、より良い会社にするために、やったほうがいいと思うアイディアをたくさん得ることができています。

 

Q.多様性のある環境において、仕事は効率的になるのですか?

(アイリンさん)

多様な人が働きやすい環境が整ったら、仕事が効率化されることになると思います。

(笠松さん)

多様性ある組織と仕事の効率化は、すぐに繋がるものではないと思いますが、言語的な観点で、事業の優位性を持つことはできるかもしれません。例えば、中国事業を考えるときに、中国籍社員がいれば、中国に行かなくても、社内で検討しやすくなるかもしれません。

 

Q.グローバル化の進展で求められる能力は何だと思いますか?

(笠松さん)

まず「言語」が必要になると思います。ただ、それ以前に「気持ち」のほうが重要だと思います。どんな相手であっても、臆せずにコミュニケーションを取ろうとする気持ちがあるかどうかが大切です。言葉が話せなくても、ボディーランゲージや表情で言葉が通じない相手に気持ちを伝えることはできます。

(船戸さん)

やはり「語学力」がないとビジネスにおけるスピード感は悪くなってしまうと思います。だから大事であることは間違いありません。

(笠松さん)

「異文化理解」も大切だと思います。優秀なビジネスパーソンであれば、相手の文化を理解して、その人が喜ぶために、どんなコミュニケーションを取ったらいいか考えて仕事をすることができると思います。

(カンさん)

多くの人は、失敗することに不安を感じることもあると思いますが、どうしたらよいと思いますか?

(笠松さん)

失敗が怖いと思う人もいるかもしれませんが、失敗を恐れるのはもったいないと思います。失敗しても、次にどうしたらよいかを考えたらいいと思います。私自身、仕事以外でも日常生活で失敗していることは多いと思います。”失敗”と”次どうしたらいいか”を考えることの積み重ねで、人は成長できるのだと思います。9回失敗しても、最終的に1回上手くいけばいいのではないでしょうか。

(アイリンさん)

ビジネスだけじゃなくて、人生でも一緒だと思います。チャレンジしないのはもったいない。時間は思っているよりも短いと思います。だからこそ、失敗を恐れずに、チャレンジしていくことが大事だと思います。

 

Q.アイリンさんは、これまで転職の機会があった中で、なぜ日本で働き続ける選択をしたのですか?

(アイリンさん)

実は両親は英語圏で働くことを勧めたこともありました。しかし、私はもともと日本の文化に興味がありました。特に、日本は戦争が終わってから短期間で急激に成長した歴史があります。どうして成長したのか、興味があったので、日本で仕事をすることを決めました。そして実際に住んで働いてみて、日本は便利で安全なので今も日本で仕事をしています。

 

(ハルユキさん)

インタビューありがとうございました!

 

 

BEENOSのインタビューは、これで終了です。留学生の2人がインタビューした質問で、皆さんも気になるところがあったのではないでしょうか?

引き続き”osigoto.com”では、日本で働く外国籍社員のインタビューをはじめ、日本で就職を希望する留学生の皆さんにとって有益な情報を集め、発信していきます。次回もお楽しみに!

 

(担当:田村 一也)

 

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