【企業インタビュー】株式会社全日本空輸 / 有能な人を財宝と見なす!ANAの求人哲学(2/2)
前回の記事に引き続き、今回インタビューさせていただいたのは、日本の航空会社である株式会社全日本空輸(ANA)です。ANAでは、人を財宝として扱っているので人材を「人財」と呼ぶ文化があります。そして、人財の「グローバル」、「グループ」、「ダイバーシティ」、「インクルージョン」という4つの性質を重視し、「世界とたたかい、よく知られ、愛される」グローバル人財を求めているそうです。今回はANAの人事部の高野さん、外国人社員のデビットさんに社内のサポート体制や企業文化についてお話を伺いました。
誰もが平等に意見を言える環境
社内のサポート体制について教えて下さい。
外国人社員の方が心配事や悩み事などがあったら、人事部の外国人の先輩がいつでも相談に乗っています。社内の雰囲気については、外国人の方も馴染みやすい環境を作っています。例えば、夜遅くまでの残業はあまりなく、仕事が終わった後、自由な時間がたっぷりあると思います。また、必ず新入社員1人につき1人の先輩社員がフォローし、何かあったらすぐ先輩に聞ける体制を取っています。先輩に対して気づいたことや意見があれば、隠さずにはっきりと言うことが歓迎されています。黙ってしまうことが一番駄目です。ANAでは、先輩が絶対だという文化はなく、誰でも平等に意見言える環境を大切にしています。
社員どうしの交流はいかがですか?
GOOGLE+で、外国人社員のコミュニティや、全社のコミュニティなど、沢山のコミュニティを作って交流しています。その他に、ANAという社内文化を語り合う場所やイベントを用意しており、ANAの社員生活を十分に楽しめると思います。
昇進には国籍は関係ない!
社内の昇進システムについて教えて下さい。
ANAはグローバル会社なので、国籍や人種をとわず、優秀な人財であれば誰でも昇進できます。入社してから5年単位で異なる仕事の経験を積んで、身につけた知識や経験を活かし15年目から管理職につくことになります。この場合は全く自分が経験しなかった部署で管理職を担うこともあり得ます。
昇進するカギとなるものとは何でしょうか?
昇進する際に、最も重視されているのはマネジメント能力です。そうした意味でも入社後の約15年間で、色々な経験や知識を身に付ける中でもマネジメント力を養うのは大事です。そしてやはり航空知識も大事です。早く航空知識を身につければ、昇進するまでにかかる時間も短くなります。現時点で入社12年で管理職についた人が最も早く昇進したケースですね。
外国人社員が、新しい価値観をもたらしてくれる
御社にとって外国人の採用はどのようなメリットがあるのですか?
ANAの主な部署としては、パイロット、客室乗務員、貨物輸送管理、ビジネス、ディレクターなどがあります。各部署内、また各部署間で意見を交わすことで会社に新しいアイデアをどんどんもたらしてきます。そうした中で、外国人社員による新しい視点からの気づきが社内を活性化してくれます。最近、外国人社員のおかげでJETプログラムという新しいアイディアだ出てきたり、日本人があまり考えない点に外国の方が着目し、完璧のクレーム対応システムを作ることができたりしたケースがあります。また、日本のANAの社風を海外に持ち出して実践してくれる外国人社員も出てきて、ANAのグローバル展開において外国人の方々は必要不可欠な存在となっています。
【取材を終えて】外国人人財への期待 (by: Avena Tan)
「事業のグローバル化」に取り組んでいるANAは約7年前から外国人の採用を始めたばかりで、外国人の採用はまだ新しい取り組みと言われています。そうしたグローバル化を通じて得られる様々な価値観や新しい発想によって、事業サービスにも社内にもダイバーシティが浸透することが期待されているようです。
グローバル競争の激化によって変化し続ける環境、お客様の多様化やニーズに応えるのは新しい発想に挑戦することと考えられます。様々なバックグラウンドからの外国人社員は、異なった価値観や考え方を持っているこそ発想や物事にダイバーシティを与えます。外国人社員が商品やサービスにおいて様々なアイデアをもたらすというお話から、異なる視点の価値を再確認しました。
もちろん、ただ外国籍だけではなく、多様な人材を受け入れることでダイバーシティが生まれます。「ダイバーシティ&インクルージョン」を推進しているANAでは「会社」「性別」「国籍」「価値観」「障がいの有無」など、様々な違いを受け入れ、「内なる多様化」を進めています。そうした多様性を通じてANAを強くしようしているそうです。また、 女性が活躍できる環境を作ったことで、ANAは2014年に東京証券取引所より「なでしこ銘柄」に選定されました。そいうダイバーシティがあるからこそ、新たな発想が生まれるのではないでしょうか。
最後に、国籍に関われず、情熱を持ち「日本生まれ日本育ちのANAブランド」を世界に発信し、何でも挑戦する人を求めているというお話でANAで働いてみたいなという気持ちになりました。
ありがとうございました!
前はこちら:「(前編)有能な人を財宝と見なす!ANAの求人哲学」
(インタビュー・文:狄 暁宇、Avena Tan)