【人事担当インタビュー】NAKED Inc. / 表現にも就職にも国境という垣根はない (1 / 2)
NAKED Inc.(株式会社ネイキッド、以下「NAKED」)は、1997年に設立されたクリエイティブカンパニーです。近年では、3Dプロジェクションマッピングやイルミネーション、映像を使った空間演出など、映像やグラフィックのみならず、人々の体験を幅広くデザインしています。外国籍のクリエーターも多く活躍しており、今注目を集める日本企業です。今回は、そんなクリエイティブな企業で人事担当をされる北原さんにお話を伺いました。
人事担当 北原 岳史(きたはら たけふみ) さん
デザイナー チョ ジニョン さん
どんなことをされている会社ですか?
社会に新しい価値を提供していく会社です。NAKEDといえば、プロジェクションマッピングというイメージを持たれる方が多いです。実際、NAKEDは映像やインスタレーション、プロジェクションマッピングなど、空間全体の演出を手掛けるクリエイティブな会社です。しかし、NAKEDの創業は1997年と、もう21年も前になります。その当時、今のような技術があった訳ではなく、時代とともにアウトプットの手段を変えてきました。
会社としては、表現はあくまで手段であり、メッセージの核を伝える「コア・クリエイティブ(Core Creative)」や、国境やあらゆるメディアの垣根を越えて創造する「ボーダレス・クリエイティビティ(Borderless Creativity)」という考えを重要視しています。NAKEDは、クリエイティブの幅に制限を持たず、最適な方法で表現することを追求しています。
NAKEDの社員の構成を教えてください。
現在、社員は110名くらいいます。そのうち、およそ60名はクリエイターです。それ以外の社員は、プロデューサーや企画進行管理、会社運営をするバックオフィスになります。
外国籍社員も多く採用されているのですね。
改めて考えてみると、このあとインタビューされるチョさん含め、一緒に働いている中で「外国人」「日本人」という感覚がなくなっていますね。以前は、個性豊かな組織を目指して、日本語学校にアプローチしたり、意図的に様々な国籍の方を採用しようと考えたりしたこともありました。しかし、NAKEDの考え方にも当てはまりますが、クリエイティブな仕事をする上で、国籍や性別などの制限は必要ないのだと思います。コミュニケーションをしっかり取ることができれば、国籍は関係ないと思います。
外国籍の方を採用する際の基準などはありますか?
日本語は使いこなせた方が良いと思います。全く話せないと、日本人とのコミュニケーションが取りにくくなるため、仕事に支障が出るかもしれません。ただ、ある程度分かれば、クリエイティブの仕事はできると考えます。大切なのは、相手が伝えたいことを理解できるかです。また、今後の海外への事業展開によっては、英語や中国語などが母国語の人を積極的に採用する可能性もあるかもしれません。
外国籍社員が日本での仕事に馴染むにあたって、大変だったことは何かありますか?
クライアント(お客様)の最終チェックで、クライアントが指摘するニュアンスが理解しきれず、手直しが多く発生したことがありました。例えば、外国人と日本人では「エモーショナル」という言葉の捉え方や意味の認識が異なることがあります。ただ、このような言葉の捉え方の違いは、外国籍の社員に限った話ではありません。日本人の社員同士でも異なる場合があります。そのため、NAKEDとしては、会社として言葉の認識を合わせて、アウトプットに違いが出ないように努めています。
外国籍の社員を受け入れて良かったことは何かありますか?
随分前の話ですが、海外の仕事で、例えば韓国の映画祭の仕事を韓国籍の社員が担当したときに、その社員のモチベーションがいつも以上に上がって、パフォーマンスが高まることはありますね。もちろん、普段からパフォーマンスに日本人と差がある訳ではありません。また、外国籍の社員と一緒に仕事をして思うことは、みんな真面目で、一緒に頑張れる方が多いということです。
これから日本企業に就職を目指す留学生にメッセージをお願いします。
留学生の皆さんは、「自分は外国人」=「お客さんである」という認識で、日本企業や社会に入ってほしくはないですね。私たちは一つの地球に住んでいるのであって、もともと「海外」や「日本」という区分けがあった訳ではないと考えています。つまり、ボーダレスなのです。たまたま日本や韓国、アメリカなどのエリアがあるのであって、それは大阪、沖縄、釜山、ニューヨークと同列なのだと思います。言葉の壁はありますが、実は同じ日本人でも、地域が異なれば(方言や文化の違いなどにより)日本語が理解できなくなることがあります。そのような意味では、留学生も自分は外国人だという意識を持つ必要はありません。積極的に日本企業の中に飛び込んでいってほしいですね。
ありがとうございました!
次回は、NAKEDで空間演出のプロデュースやデザインを行う外国籍社員にインタビューします。お楽しみに!
後半の記事はこちら
(インタビュー:田村 一也、渡邉 絵理、大澤 拓也)